Garage JUNK BOX
Kawasaki Z1R-U1980 Model

Maintenance Report


Repair for the auto canceller
オートキャンセラー修理  


オートキャンセラーとは

  ウインカーを点けるとメーター直下のセンサでケーブルの回転数をピックアップし、そのデータを右ライトステーに装着されているコントローラで読み取る。そして規定以上の回転数になるとこのコントローラが左ライトスイッチ下部(ターンスイッチ真下)の長方形のケースに入っているソノレイドへ作動電力を送るとターンスイッチのストッパーが外れ、バネの力でスイッチがニュートラルに戻る仕掛けである。

もっと具体的に言うと、ウインカーを点けてから4秒後に走行距離のカウントが始まり、50M走ったらライダーに何の負担も掛けずにウインカーを消してくれると言う。当時の最新技術を採用したカワサキならではの優れた装備である。

”具体的なのは4秒後と50Mだけじゃんか”

などと突っ込みは入れないでもらいたい。白状しよう。よく英文がよくわかんなかっただけである。お許しください。
とにかく話を先に進めよう・・・。


用意するもの

テスター・ワニ口クリップ・接点回復剤(べとべとしない物)・その他外装を外すのに必要な工具・リード線・etc


実際の作業

最初はハンドルスイッチのアースを疑ってみる。ハイビームにするとライトが消えてしまったりするのはアース不良。ハンドルのめっきは電気を通しにくいのでハンドルスイッチと接触する所をサンドペーパーなどで落としてみる。画像右下にぶら下がっている四角い物体の中にソレノイドユニットが入っている。 

問題なければタンクを外して左側コイル前部のハンドルスイッチコネクタ(9pin)と黄色線を使って動作チェックする。チェック方法はセレクタースイッチをAにして茶色と黄色のリード線がショートしてればセレクターは問題ない。 

次はターンスィッチのチェックに入る。Nでは赤/白リード線とグランド(ハンドルとの接点)がショートしていれば良く、L、Rに入れた場合は、白/赤・青/白がショートしていれば良いのだ。次に、白/緑のリード線とグランドへテスターをつないで導通チェック。抵抗値は気にしない。用は断線してなきゃ良いのだ。OKだったら

ついでにソレノイドの動作確認をする。焼き付かないように注意が必要。やり方はターンスィッチをLかRのポジションにして白/緑のリード線にバッテリーから12V(+)を引っぱってきてソレノイドを動かしてチェックするのだが、12Vのリード線はほんの一瞬だけ白/緑のリード線とショートさせること。これでキャンセルされれば、ハンドルスイッチ・コネクタは異常なしである。

ハンドルスイッチやコネクタに問題がなければディスタンスセンサーのチェック。場所はフロントカウル・ライトリムの片側を外すと見えるスピードメーターの直下。

センサーを外し、そこからでている二本の配線にテスターをつなぎシャフトを回してやる。テスタの針がピコッ、ピコッと振れればOK!

作業も終盤へ差しかかってきたあともう少しだ。がんばろう!!ここまで異常なしで来たら、残るはメインハーネス(6pin)と右フロントカウルステーの外側にあるコントローラだ。準備としてまずテスタのレンジをDC25Vにする。そしてバッテリーの電圧を測ろう。必ずバッテリー直で計る事、数値はメモしておくのを忘れずに。テスタの-は車体へ固定。

メインハーネス(6pinカプラ)のチェック。このときコントローラとメインハーネスは接続されていなければならない。カプラの隙間から順番に黄色と青/白リード線の根元の金具へテスタの+をあてる。イグニッションON・セレクターAで先程測定したバッテリー電圧が計測できたらOK。(ターンスイッチはどの位置でもよい)

同じように次は白/赤リード線の数値を計る。イグニッションON・セレクターA・ターンスイッチLとRで先程測定したバッテリー電圧が計測できたらOK。ニュートラルの数値は0V。もし、測定電圧がバッテリー電圧よりも低い場合はメインハーネスの経年劣化で電圧の減衰が考えられるのでハーネス交換や部分引き直しが必要で ある。異常なしならラストへ

マニュアルによると最後はコントローラを交換してしまえと書いてあるので新しい物を注文しよう。部品はまだ欠品にはなっていないようだ。確か7千円か8千円だったような・・・。2001年11月現在


管理人の修理記録

折角だから管理人の修理記録も合わせて載せておいた。 

アース不良・リターンスプリングのチェック ハンドルのメッキをサンドペーパで落としてみる。キャンセラーは動かなかったが、ライトスイッチ全体のパフォーマンスは向上したようだ。リターンスプリングは問題なし。
セレクタースイッチの動作確認 セレクターを動かすとそれに連動してテスタの針が動いていたので問題はない。
ターンスィッチのチェック・9ピンカプラのチェック 異常なし。
ソノレイドの動作確認

動かない。だが断線はしていないので固着していると思われる。CRCを多めに掛けて次の日まで放置しておいたら作動成功。

ディスタンスセンサーパルスのチェック

パルスが出ない。新しい部品を調べるがすでに欠品。仕方ないのでCRCを吹き付け、ムリヤリ電動ドリルで回してみる。微かにテスタの針が動いたような気がしたので今度はそのまま灯油に3日間ぐらい漬けたら復活。モリブデングリスを使いグリスアップ。やれやれ。

パッテリーの電圧を測る

なんと11.5V!!これでよくセルモータが回るね。ほんとかな?

6PINカプラの電圧を測る 黄色と青/白リード線 黄色は9.5V、青/白も9.5Vしかない。
6PINカプラの電圧を測る 白/赤リード線

これも9.5V。何回計っても9.5V。とにかくありとあらゆる接点を磨く。経験値はそれぞれ0.5ポイントあがった。と言うことで10V。それでも10V。メインハーネスが硬いので被覆線の劣化が考えられる。しかしこのパーツもメーカー欠品。中古はNO眼中(死語)なので、キャンセラー部分の配線引きなおし、メインハーネスの他車種流用までも検討する事に。結果は散々。

ターンシグナルコントロールユニットの交換

結果から言うと交換はしてない。一通り修理を終えると時折動くようになったのである。これはほかにも試す価値があると言うことでメインハーネスに負担を掛けなくするグッズを導入することに。点火システムの電源を、電流/電圧が最も安定しているバッテリー本体からダイレクトに導通させるためのリレーキットなる物を採用することにしてみた。取り付けてみると・・・。なんとキチンと作動するようになったのである。 次はライト周りをやることにしよう。  修理完了・・。


故障診断マニュアル

よく取扱説明書などにある”故障かな?って思ったら”のコーナー。

症状 考えられる原因 対策
いつまでたってもキャンセルされない

故障

自分の手でキャンセルする→ 要修理
曲がってないのにキャンセルされる。 曲がろうとしたのに実際は曲がっていない

ウインカーを点けてから4秒後に走行距離のカウントが始まり、50M走ったらキャンセルするので曲がるかどうかは関係ない。

交差点を曲がったあとキャンセラー作動が遅い。効かない。 ウインカーを出すのが曲がる直前

最低でも曲がる動作の4秒前にはウインカーを出すこと。

自分個人的には、とにかく設計・製造とも20年前なので多少の不具合はあっても仕方ないと思う。

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更新日:2002/09/02   2003/06/14

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