The Garage JUNK BOX
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-------------  Kawasaki KZ1000A/D    ------------
Repair the starting motor.

 

今回はセルモーター修理&OH 3本立て(内容は一本分だけです)

忙しくて更新を怠けてしまい、すでに一年近くたっているネタのアップです。スミマセン。
お詫びと言ってはナンですが、できるだけ詳しく公開しました。

Zのセルモーターはクルマと違って構造がいたってシンプルです。
ですが、初めにお断りとしてこのページを参考にする場合は
 セルモーターは直流モーターでマイナス電流が本体に流れる構造(マイナスアース)である事、
そして電装品の中ではもっとも大電流が流れる危険な部品である事を念頭に入れて作業してください。


き、汚たねえ・・

 

 手元にある、何でオレの元に来たのか思い出せない入手経路が不明の予備として取ってあったセルモーター。 だけど動かない。ピニオンギアも手で回んないし・・・。試しにバッ直で通電させてもウンともスンとも言わない。カーボンブラシがダメな時は通電して力なくだけどとりあえずは回るんですけどね。MK2のレストアも無事終わったことだしヒマになったので、気になってしょうがない。

そして分解してみると・・・・・・・・中はカーボンのカスでまっ黒。


治るのかなこれ・・・・

 わわわ、プラスターミナルのハンダが取れてしまっていて+電流が流れる内部のフレーム(フィールドコイル)が変形して見事にアーマチュアと干渉していた。こんな状態でバッ直でショートしなかったのが実にラッキーである。中は削り取られたアルミニウムの粉まみれ。セルボタン押しても回る時があったり回らなかったりするトラブルの原因の多くはコレ。 皆さんもリレーからくる太いプラス側のケーブルを外す時は気をつけましょう。


もう一つの重要な確認作業 は・・・・

 アーマチュアの末端にあるコンミュテータの状態をよくチェックすることである。 画像中央の長方形の何本もの帯はセグメントと呼びます。この部分がハデに削れていたり(アンダカット)、偏磨耗していたり、傷が付いていて異常があったらOHや修理は出来ないと思っていい。セグメントの間に堆積物が詰まってしまっている状態(ハイ・マイカ)は洗浄すると解決する場合がある。
(このアーマチュアという部品はリビルト品が単体で存在するようです)


OHの開始

 出来る限りバラバラにして洗い油で洗浄、給脂に、修理と。
ココで気をつけなきゃなんないのはボルトやゴムパッキン(Oリング)、スペーサーなど欠品している部品や元々設定がない部品がある(すべて
21163-1006:モーターアッシに統合されていてしかも欠品)のでなくしたり、破損させたりしないように。 油断すると復元できなくなります。 


+側ターミナルの裏

 そして修理作業へ。+電流が流れるフィールドコイルを一旦バラバラにしてハンダ付けを行った。
そして修理完了。ふう〜。もちろん修理中の画像なんかとってるヒマはございません。


ブラシ側のエンドカバー

 

 ここにショート防止のため、絶縁テープを23重に貼り付ける。
セルボタンを押してセルが回っている時にメインヒューズが切れるトラブルはエンジン始動時の振動でココがプラス側のカーボンブラシと当たってしまうことで起こる事がある。

また、画像は無いが、反対側(エンジンに差し込むほう)のエンドカバー内側にはオイルシールの中にグリスをふんだんに詰め込む。


コンミュテーターの導通チェック。

 

 テスターを使って、セグメントどうしに導通があればOK。(特に規定値はありません)
シャフトとコミンテーターに導通がある場合はどこかでリークしているので使用不可(画像のチェック方法)。
無事テストにパスしたら、セグメント表面を2000番位のサンドペーパーで整えてから接点回復剤を吹きかける。

他にメガーやグローラテスタを使用するもっと深い部分の点検方法があるが、そうなると個人の領域ではないので割愛する。


カーボンブラシの状態と導通チェック

 カーボンブラシの全長を測って1213ミリだったら再使用可能。(洗浄の前にやっても良い)そして8ミリ以下だったら交換する(まだ部品は出るようです)

 まずはブラシの絶縁を点検する。(画像のチェック方法)
OKならば、テスターの一方を一個のブラシ、もう一方を+ターミナルへ合わせる。今度は+ターミナルからボディ(ヨークと呼びます)へあわせる。どちらかで導通があるならOK。どちらも導通があったらプラス端子からカーボンブラシまでのルートを徹底的に確認する。もう一方のブラシも同じようにチェック。こんどは導通が反対ならOK

問題なければ組み立て作業へ移行。


組み付けの際、ピニオン側は太いマークをプラスのターミナルへ、ブラシ側は細いマークをヨークとあわせる。
(画像左上と右下を参照)

このときの注意点は、エンドカバーを被せてから回してマークをあわせるんではなく最初にマークを合わせてからエンドカバーを被せる事。そしてテスターを使ってプラス端子とヨークの絶縁をを確認するチェックを行う。最後に実際にバッテリーから直付けで回転チェックを行う。その時はバッテリープラス側とセルモーターの間に20Aのヒューズを入れて行うとベスト。そしてピニオンギアが元気よくブンブン回れば作業終了。

 復活の嬉しさに調子こいてついでにZ1RMK2のセルモーターも分解してメンテ&修理。
作業日 2008/02/05


 このセルモーターはZ1000A/DZ1R)だけでなく、Z1,Z2,Z900,Z1000,Z750D(750FX含む)などのZ系では同じ型番の物が使われているようです。あとはホンダのCB750K0なども同じだそうです。(未確認)
オーバーホールや修理に自信がなかったり、面倒だったらリビルト品が高いお値段で売ってます。

 

サービスデータ

コンミュテータ・アンダーカット深さ(Groove Depth) 標準値 0.5〜0.8mm 限界値 0.2mm
カーボンブラシ長  標準値 12o〜13mm 限界値 6mm

パーツ情報

部品番号 名    称 個数 価格
21163-1006 MOTOR ASSY,STARTING 1 販売終了
21015-005 SCREW,PAN HEAD,5X110 2
販売終了
21027-004 0" RING,STARTING MT [代替品番]92055-1276 1  ¥     360
21039-003 BRUSH Carbon 2  ¥     990
21040-003 Spring brush 2 販売終了
26011-1036 Wire,Starting motor lead 1 販売終了
21017-017 CAP, Starting motor terminal 1  ¥     360
21027-003 "0" RING,STARTING MT 1  ¥     360

2008年2月調べ

2009/01/23

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