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JUNK BOX              2006/12/29最終更新(クリックすると飛びます)
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82年型KL250A5のレストア
 
   Kawasaki KL250 82年型 

 現物見ないで買ってしまったボロボロのKL250。
こんなもん買って本当によかったのだろうか?

 よく見ると純正部品の欠品はウインカーのゴムが劣化してなくなったいるだけでほとんど無いみたい。  

とりあえずはノーマルにてレストアする方針に決定!車体に純正部品が残っているのとノーマルはほとんどにおいてベストだから。特にこの年式は 当時のいろんな問題が解決され完成されている。

A型はこの型式で最後となる。

 


    まずはエンジンかけてみる

  ボロいけど実働バイクって事でお金を払ったので、まずはエンジンがかからないと たいへんな問題である。 キック10発。全然かからん。
 何回キックしても掛からないのでプラグを外すと電極はガソリンでビショビショ。
あんだけ長時間揺られていたんだから無理もない。

濡れたプラグをキャンプ用バーナーで焼いて取り付けるとバルルル・・・キック一発で掛かった。
うれしくてナンバー無しでそこら辺を走り回った。と言ってもさすが大人である。
広い駐車場をアホみたいにぐるぐる回っていただけ。
20年前まえなら間違いなくバハのナンバーつけて公道に乗り出しただろう。

 


     リア周りからレストア開始

 サビサビのリアキャリアはA5から標準装備にになったそうだ。

タイヤは当時物のバリ山・ヒビなしダンロップK150。

サビは出ているものの保管状態は良かった見たい。

青っぽいリアフェンダーの元の色はもちろんライムグリーン。
 

 

 

 スイングアームはもともとの色である銀色よりも赤い色の面精の方が多い。

そしてこのスイングアームは再塗装で生まれ変わった。

記憶では角鉄スイングアームを採用したのはKLが初めてだったような・・。

サイドカバー、工具入れ、マフラー、ウインカー、フェンダー、リアショック、バッテリー、エアクリボックスなどをどんどん外していく。

下の画像のような姿になるには十数分しかからない。



 

 
      KLリアショックのお話し

 画像はKL250A-C対応のMDI製ショック(上段)とノーマル(下段2本)。
ノーマルとの違いはノーマルは窒素ガスショック(ノーマル)に対してとオイルショックのMDI製。
そして最大の違いはスプリングの巻き方が不均等になっていること。Z1Rの検索でここに来てくれた方は判ると思うけど、この不等ピッチ、元々はカワサキがZ1Rのために採用した技術だったのだ。
Z1Rの方は1型のクレーム騒動で2型からはただのノーマルショックになってしまったが、ちゃんとオフの世界で生かされいたのだ。

話は戻ってMDIはショックの形状からして実車には倒立で取り付けることとなる。あれれ、オイルショックって倒立(逆さま)でつけるとマズいんじゃないかなと思って、販売元に聞いてみると倒立で付けた時はもちろん性能は落ちるが、耐久性は正立で付けた時と変わらないそうだ。
いずれはノーマルをどこかに頼んでリビルトしてもらう予定。

 


      リア周りのレストア

  ムキ出しになったリアフレームを#300-400位のサンドペーパーで研いでいく。
十分下付けをした後、十分乾燥させてから1缶200円ちょっとの缶スプレー(後ツヤありブラック)で吹いた。
3度吹きしたら結構いい感じになった。

フレームが乾くまでリア周りの部品調達とタイヤ周りのレストアを行う。

 

 

アルミリムは腐食が激しいので400−1500と段階的にサンドペーパーでならしていった。

スポークはワコーズのラスペネをしみこませたスチールウールで一本づつ磨いていった。

MDIのサスを倒立にくっつけて完了。(KLには取り付けの場所から見て正立じゃ付かないみたい)

 


 


      今度はフロント周り

 リアが一段落付いたので今度はフロント側。こっちもかなりヤレている。 っても塗装だけ。

すべてのパーツはちゃんと機能するし、ゴム製品は弾力もあってしなやか。

取り付けていないが、純正のミラーも付いていた。クーロームメッキのコーティングフィルムは着いたまま劣化していた。

赤錆出ているハンドルなんかは再塗装で蘇った。

 

 

 フロント周り全てをとっぱずし、ステムを外すとテーパーローラーベアリングに打ち換えてある。
付着してるグリスを見ると安っぽい肌色のグリスが劣化してくっ付いている。
この車両の年式ではボールがグリスとともに封入されていてもおかしくない。
パーツリストで調べるとKL250は始めからテーパーローラーベアリング仕様だった。
ちなみに250TR(現行車)はレースとボールを使うオーソドックスなタイプである。
さらに言えば、エストレアも同じでZ1Rも同じく。
 


 


     アッパーフレームとエンジン塗装

 エンジンにマスキングをして残るフロント側アッパーフレームの塗装に入る。
重ね塗りは3回くらい。マスキングするくらいだったらエンジン降ろせばよかった。




 

 

 

 今度はフレーム側にマスキングをしてエンジン塗装を行った。
使った塗料はPJ1。焼付け処理をしなくても自らエンジンの熱で焼け付け処理をしてくれるというのが売り文句である。温度が上がるマフラーとかには白く色が変わってしまって使えないが、エンジン塗装にはすでに我がZ1Rにて検証済みである。お勧めの一品。
シングルエンジンはエンジン降ろして塗った方がやりやすい。
なぜエンジン降ろさないでマスキングしたかは永遠のなぞ。



     フロントフォークのオーバーホール

 フロントフォークは左右で長さが違っていた。
このフロントサス、窒素ガスが封入されており、当時としては最新式だった。これはそのガスが抜けて全長が変わってしまったのだ。

オーバーホールをしたら2本とも同じ長さになった。

フォーク内に入れる気体はオーバーホール後、窒素ガスでなくてもエアーを規定値入れればよい。

 



 大変見づらいが、電動インパクトレンチでフォークシリンダーボルトを緩めている。
緩むのは緩むんだけどやっぱり中で空回りしてしまう。
上側からフロントフォークハンドル&アダプターと同じ役割を持つ自作工具を挿入してシリンダーを固定後やっとボルトが外れた。
やっぱり
フォークシリンダーを押さえる工具が欲しい。

ブーツもスプリングの自由長も問題なく、インナーチューブの状態も良い。ラッキーだった。





  交換部品はオイルシールやパッキンなどの消耗品。
消耗品は一部欠品があった。再使用は免れないので、慎重に分解した。

オイルはベルレイ10wのフォークオイルを使用した。

オイル量(オイル交換時) 250cc
オイル量(分解、乾燥時) 256cc 今回

オイルレべル 260+-2mm

エアー圧力 1.1kg

 


     やっと折り返し。
 
今回のKL250レストアプロジェクトも後半に突入。
レストア・オーバーホールしたてのフロントフォークをステムに取り付ける。

 

 

 

 

再塗装して生まれ変わったようなハンドルを装着。

フロントドラムを分解、清掃後、組み付け直した。

一緒にエンジン上部の電装系なんかもレストアした。これでやっと移動が出来るようになった。


 

 


やっとバイクらしい形になってきた。


 そんでもって横から一枚。あれれ、スカスカのスカチューンみたいだ。オレはスカチューンてのは横須賀が発祥というウワサを信じていたが、どうも間違いらしくスカスカのスカらしい。





 


      キャブのオーバーホール

 一応エンジンかかったんだけど、心配なのでキャブのオーバーホールへ取り掛かる。

磨いたらピカピカになった外側。
 

 

 




 ムラシマのHPで検索すると12000円と出てくるダイアフラム。

これが破けると大変な事になる。

 

 


 


 フロートカバーを外してみると、推測の通り、ガソリンがフロートチャンバの中で腐っていた様だけど一応各部所のラインの詰まりはない様子。念のためパイロットジェット・スクリュー、メインジェットを新品に交換しておく為に近所のバイク屋で部品注文したが、結果は全滅だった。
 

 

 

 

現在のところ、ミクニBS34のパーツは全て欠品。本体構成部品はもちろん、ダイアフラムやインシュレーターなどゴム部品も絶版部品となってしまっていた。仕方なくバイク用品屋でキャブレターメンテキットなるものを購入。これでシコシコとジェットの中などキレイにする事になった。これはあんまり使いたくない。ナゼならば、これを使いすぎるとジェットの内径が微妙に変わってキャブのセッティングがおかしくなる可能性が高いからだ。

 


      電装系のレストア

 外した電装品は細かくチェックする。
ひび割れ、断線などを発見したら配線をを引きなおす。特に異常は無かったので、シリコンスプレーを満遍なくスプレーして保湿を保つ。

バッテリー電圧は6V。ヘッドライトは提灯の様に暗い。

バッテリーはダメになっていたので取り替えた。
 

 


点火コイルとCDI。テスタでサービスマニュアルにもとずく値をチェック後、所定の位置に装着。

 

KLはバッテリー点火のはずだけど、無くてもかかってしまう。不思議。




 

 真ん中に見える白い四角い物体が、バッテリーとバッテリーケース(欠品)。

見づらいが、レギュレーターとフューズはバッテリーケース横に装備されている。

 


     サイドカバーのレストア

 サイドカバーも色あせているので再塗装。
「KL250」のステッカーは絶版品なのでマスキングして塗装することに。

マスキングテープを貼り工芸用のカッターで余分を切り離す。

 

 

 

 

サンドペーパーで下付けをして、プラサフを吹いた。下地がプラスティックなので油断していると直ぐに塗料がたれてしまう。





 
 


 

 

使用した缶スプレーはソフト99プラサフとディトナの「ライムグリーン」

リアフェンダーも同じ様に塗った。

ガソリンタンクは程度がいいのでペイントせずにタッチアップで修正する。


 


     外装装着

 マフラー、ガソリンタンク、シート、テール周り一式、をドンドン取り付けていく。

シートはヘリがまだ残っている。あまり乗っていない証拠。中古車を買う時の参考にでもしてください。

マフラーが細いのもKLの特徴。その代わり、エアクリーナーボックスの下にはでっかいタイコがある。

リアウインカーはPOSH製。

 

フロントのワイヤーケーブル類の装着。

フォークのアウターはアルマイトが黄色くなっていたけどそのまま磨いた。キルスイッチは新品が取れた。

 

 


 




 フロントウインカをヘッドライトの横に装備。

あとはライトケースとフロントフェンダーを残すのみ。

 







 

ライトケースを装着してほぼ完了。



    プチメンテ

 KLのガソリンタンクは程度の良いタンクなんだけど、念のためガソリンコックのオーバーホールをしておいた。ガソリンタンクの中にはさびが全く発生していないのでドレンキャップの中にも思ったよりゴミが入っていなかった。

パッキン類も使えそうだったのでそのまま戻す。

燃料系のゴム部品はナゼか高い。使えるものはそのまま使おう。

 


エアクリーナーのスポンジは経年劣化で中でバラバラに・・。
そこでターボークリーナーとか言うフィルターを付けてみる。
このフィルター、よく見てみると目が粗い。キャブのジェットとの関係はだいしょぶだろうか?

ちょっと不安になったので元々は乾式なんだけど、吸入効率を考えて湿式にしてみた。


 



 



     ハンドル周り完了

 いろんな所を塗りまくったかいもあり、赤茶から真っ黒く見事に変身したメーター周り。今回は程度が良かったのかあまり剥離材は使わなかった。速度警告灯のシールも残っている。

 








走行距離は4300km、23年間でですよ。メーターガラスの周りにサビが出ていたのでつや消しのタッチペンで処理をした。

 

 








 フロントフェンダーはKX用。

オリジナルを保ちたいが、こっちの方がカッコイイ。

じきノーマルに戻そうと思っている。




    とりあえず完成

 カワサキのオフ車って言えばライムだけど、ライムグリーンが純正色で扱われたのはKLではA4から。
その前はカワサキのオフ車といえば赤だった。 

今のオフ車には無いツインショックであるのもKL250Aの特徴。

 

 

 


 なかなかキレイになったので軽く 流しに出かけたところ嬉しさのあまり一晩で300kmも走ってしまった。バランサーが付いていないので100kmだすと車体がバラバラになりそう。でもこのエンジンの振動は非常に心地よく体に響く。

 

 

 


    ほぼ完成

リアキャリアを装着し、KXフロントフェンダーから純正フェンダーへ換えた。

ミラーはスーパーシェルパ用。

 

 

 


レストア終了(完成形)

ミラー、ウインカーをカワサキ純正部品に戻し、リアショックを除いてノーマル形状になった我がKL250A5。
2006年になってノーマルショックのリビルトを諦め、ツインショックレース協賛店のススメもあって動きの悪いMDIからプログレッシブへリアショックを換えてこのレストア計画は終了した。今後は維持管理に徹するつもり。(2006/12)



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